第2回 教区寺院セミナー報告 2023年10月3日

13部セミナー役員 山田 義峰

10月3日、名古屋都市センターに於きまして「第2回教区寺院セミナー」を開催いたしました。今回も会場とオンラインのハイブリットでの開催となりました。

 今回の講義は中京大学教養教育研究院教授であり、名古屋市男女平等参画審議会委員をされています風間孝氏を講師とし「性の多様性と性的少数者の経験する困難」というテーマで講義を行いました。

講義内容は大きく4つのテーマに分けられており1つ目のテーマは「性の多様性をめぐる今日の状況」についてです。労働施策総合推進法の改正でしたり、LGBT理解増進法の成立などで、国全体としても動きがあるなかで2023年7月の経産省トイレ訴訟問題などで最高裁まで発展しているのが現実だというお話を聞きました。

2つ目のテーマは「多様な性とは、性の捉え方」です。戸籍上では生徒は男と女の2択しかないが、どちらに対しても違和感があるという考え方について勉強しました。法律上で定められた、生まれたときに振り分けられた「戸籍の性」一貫性を持って認識している「性自認行動」振る舞い、外見などに結び付けられる「性表現」感情的、身体的に惹かれる「性的指向」この4つが人それぞれによってバランスが違うために男と女という2択だけということに対して違和感を持たれる方がいる。こういった考え方は日本だけではなく、世界的な問題であり実際にパスポートには男性、女性のほかに男女いずれでもないX等の表記を認めている国もたくさんある。

3つ目のテーマは「性的マイノリティのおかれている状況」について。家族に対して自分が性的マイノリティで打ち明けることができない、打ち明けたとしても認めてもらえないなどが原因で自殺念慮、未遂割合の高さについて学びました。この割合の高さには学校でのいじめだったり、職場での居心地の悪さなども原因と考えられています。

4つ目のテーマは「性の多様性を自分の問題として捉えるために」です。異性愛者の場合は賃貸を借りたりローンを組むなどは問題ないが、同性愛者の場合はこれが断られるパターンがある。また外見だけで、その人を男性である、女性であると決めつけた振る舞いが他人を傷付けてしまうなど、性の多様性を理解する必要があるということを学びました。

今回の講義を受けて、私自身もトランジェンダーについて少しばかりは勉強しているつもりでしたが、まだまだ勉強不足であることを思いました。講義の中で、男性か女性の二択しかない戒名についても触れ、「男女として区別されたくない」といった方たちに対しては、どのように対応すればいいのか話し合いましたが、これといったまとまった意見は出てきませんでした。この問題に関しては臨済宗だけではなく、他宗派の方たちの意見も聞きたいと思いながらの受講でした。